エクセレントレクチャラー賞 2017年度 建築学科
木方 十根 教授
担当科目
- 1年生:設計基礎I(受賞科目), 設計基礎II
- 2年生:建築史
- 3年生:建築設計III, 地域環境史
他
受賞者のコメント要約
・学生一人ひとりに個性があり、得意・不得意がある。
・学生自身が工夫し、自分の方法で解決策を見出す力を引き出す。
・学びの場は常に、学生と教員でつくるフレッシュな場であるべき。
受賞者のコメント
2017年度受賞の対象科目である「設計基礎I」は私のほか、西田建一講師、柴田晃宏准教授、朴光賢助教との分担科目であり、本表彰は本来、以上の皆さんの教育貢献に対するものです。
建築設計演習は創造的で楽しい科目である反面、芸術的な側面もあり、課題の正解は一つではありません。過去の学生アンケートには「A先生とB先生の言っていることが違う」、あるいは「何が評価されて成績が付けられているのか分からない」といったコメントが寄せられることがありました。最初のコメントは課題の性格上、ある程度その通りなのですが、その場合でも教員達は「なぜ意見が違うのか」をお互いに協力して受講生に伝える責務があります。また二番目のコメントが出ることはあってはならないのですが、特に設計演習では様々な視点からの評価が必要な以上、それらによって構成される「評価の全体構造」を、なんらかの方法で明文化・可視化して受講生に伝える必要があります。
教育において重要なことは「学生に対する伝え方の工夫」です。各教員がコミュニケ−ション能力を磨かなければならないことはもちろん、教員組織としても同様の努力が必要です。こう考えると、まだまだ至らないことばかりだと思っています。
思想家の内田樹は「知性とは集団的な現象である」と述べています(内田編『日本の反知性主義』, 2015, p.22)。学生と教員たちによって、鹿児島大学に知性的な場が生みだされるように、これからも努力したいと思います。