駒水 実佐子
よく「なぜ水産高校なのに工学部?」と聞かれますが、私のいた水産高校の情報通信科は、無線通信・電気電子分野の勉強をする学科であり、3年間のうちに多数の無線通信分野の国家資格も取得しました。
高校入学当初は、卒業後は専攻科に進学し、さらに上級の国家資格取得を目指そうと思っていたのですが、高校2年の夏に当時の教頭先生から「大学に興味はない?」と声を掛けられ、自分で色々調べたり、オープンキャンパスに参加したりするにつれて、大学でさらに知識を深め、無線通信分野の研究がしたいと思うようになり、大学進学を決意しました。本格的な受験勉強を始めたのは3年の夏で、高校では数Ⅲや数A・B、物理、化学などの授業は無いため、その頃から数学・英語・物理の各科目の先生に、毎日個別で教えてもらっていました。一からの挑戦だったため不安でしたが、何があってもずっとそばで応援してくださった、たくさんの先生方の協力があり無事に大学に合格することができたので、先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
大学入学後、1年生では基礎的な科目でも数Ⅲや物理などを習っている前提で授業は進んでいきますが、私は大学に入学してから初めて習ったことばかりだったので、初めはとても大変でした。そのため、授業終わりやオフィスアワーの時間に先生に聞きにいったり、友達に教えてもらったりと自分で工夫しながら勉強を進めていました。2年生からは実験が始まり、徐々に専門科目が増えていったためより内容が難しくなり、毎日レポートに追われるなど、とても大変でしたが、必死でここまでついてきました。
そして3年生の夏、実際の現場を見てみたいと思い、アンテナなどの設計を専門に行っている会社のインターンシップに参加しました。2週間で様々な実習を行った中でも、一番印象に残っていることは、自分でヘリカルアンテナを組み立て、VSWRが良く軸比が小さい周波数において、素子の巻き数や反射板の大きさを変えると利得や指向性がどのように変化するのかを測定したことです。内容は授業でやっていても、なかなか理解できていないことが多かったのですが、インターンシップを通して自分の手で実際に動かし、測定結果を自分の目で確認したことで、さらに理解が深まりました。
私は高校入学当初からずっと、警察無線を支える管区警察局の専門技官になりたいという夢があり、どんなに普段の勉強が大変でつらいことがあっても、今まで夢のために諦めずに頑張ってきました。工業高校など専門高校から大学に入学する方は、最初は勉強についていけるか不安だと思いますが、自分の努力次第でいくらでも道は開けます。学生生活は一度しかないので、自分の興味のあること、やりたいことにたくさん挑戦してみてください。