エクセレントレクチャラー賞 2016年度 情報生体システム工学科
大野 裕史 助教

担当科目
受賞者のコメント要約
IB(Information and Biomedical)はICT(Information and Communication Technology)で学ぶ、オンライン教材を活用したアクティブラーニング
- オンラインビデオによる反転授業
- プレゼンテーションでコミュニケーション能力UP
- 知識は与えられるもの? いや自分で獲得していこう!
受賞者のコメント
情報生体システム工学科では2015年よりアクティブラーニングを推進しています。各教員が様々な取り組みをしていますが、私が取り組んでいるのはオンラインビデオによる反転授業です。反転授業とは2012年にスタンフォード大学のProberが「講義のない教室(Lecture Halls without Lectures)」という論文で提唱したもので、「学生はディジタル化された教員の講義を予習として受講し、講義の時間は知識の解説から解放され、意欲的・自発的に取り組むべき応用や演習に集中する」というものです。
私は2015年度後期~2016年度の担当授業(応用数学I演習、実験I,III)において予習用ビデオ教材を約50本(総時間300分以上)作成し、反転授業を試みました。1つのコンテンツは5分から15分程度で通学中の電車の中やコーヒーショップなど、自由な時間に好きな場所で好きな分量を予習できます。配信にはスマートフォンなどでも再生できるようYouTube(限定公開)を採用したため、学生には「ユーチューバー オオノ」などと呼ばれています。予め知識や理論について学んできてもらえば、授業の時間は実践にフォーカスされます。演習であれば多くの例題に当たり定理の応用や解法のテクニックを積極的に理解していけますし、実験であれば今自分が行っている実験が何をしているのかを理解しながら進めることができるうえ、計測器の使い方などで時間を費やすこともありません。プレゼンテーションやディスカッションなどにも多くの時間を割くことができます。
現代の若者は情報溢れる社会に生まれ、活字媒体から自分に必要な知識を予習してくることに慣れていないかもしれません。一方、スマートフォンなどのICTツールに慣れ親しんでおり動画などの映像から知識を獲得していくことは得意でしょう。私は学生が話を受動的に聞かされるのではなく、話を自発的に観にいく・知識を獲得していく、という環境を作ってあげたいと考えています。しかしこれらアクティブラーニングはあくまで手法のひとつです。これを学ぶ主体である学生に押し付けてはいけないと思っています。本を読む、講義を聞くといった旧来の教授方法も在ったうえで、学生諸君に学ぶための選択肢を増やしてあげることが彼らの意欲向上につながると信じ、日々の講義を行っています。
以下のURLでオンラインコンテンツを参照できます。興味をもたれた方はご覧いただければ幸いです。
受賞者のウェブサイト
※参考文献リンク