建物を造る感動
大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2008年度修了
大川 光雄(株式会社竹中工務店 大阪本店技術部計画2G 課長)
私は子供のころから憧れていた福岡ドームをつくった会社に入りたいと思い、竹中工務店(ゼネコン)に入社しました。入社後1年間は新社員の同期195名と寮生活をしながら、作業所と内勤2部門(設計部構造グループ・技術部)を4ヶ月ローテーションで経験し、2年目から作業所(施工管理)に本配属となりました。約9年間の作業所経験を経て、現在は技術部計画グループで仮設計画・工程計画を行っています。若手作業所時代は、右も左もわからず専門用語が飛び交う中で毎日がむしゃらに作業所を走り回っていましたが、最初に携わったプロジェクトで、足場で隠れていた外壁が、足場解体と同時に真っ白で綺麗に仕上がった外壁が見えた瞬間の感動は今でも忘れられない瞬間です。
どんな建物でも大なり小なり困難が発生します。限られた工事期間の中、建築主様のために幾多の困難を乗り越えていくからこそ、出来上がった瞬間の感動は何物にも代えがたいものになります。また私には小学生の子供がいますが、私が携わった大型ショッピングセンターへ一緒に行くたびに、「あの建物パパが作ったんだよね。」と喜んでくれる姿を見れるのも建設業の醍醐味の一つかなと思います。
学生時代は学部4年から大学院までの3年間は塩屋研究室(通称、塩研)に入りました。学生よりもエネルギッシュな塩屋先生の指導のもと、自分たちで設計した実験用試験体の鉄筋・型枠を組んだり、コンクリートを打設したりとトライ&エラーを繰り返しながら自分たちの手で作り上げるプロセスの中で、ものづくりの醍醐味を覚えました。また、学生の立場にありながら自分たちの実験の成果を各種学会で発表する機会を与えてもらったことは、非常に貴重な経験をできたと同時に大きな自信にもつながりました。
入社した当時は全国の大学・高専から集まった優秀な同期に対しコンプレックスを感じることもありました。でも、鹿児島大学で過ごした6年間で培った自信のおかげで、すぐにそんな心配はなくなりました。そういう意味で鹿児島大学を選択したことは間違いなかったと断言できます。
鹿児島大学建築学科はこれから大学生活を始める皆さんを大きく成長させてくれる、教育環境がそろっています。ぜひ志望校の一つとして検討してみて下さい。
建築は自由で楽しい!
大学院理工学研究科 建築学専攻 2018年度修了
竹島 光志郎(株式会社丹青社)
私はデザイナー職として、博物館やショールーム、オフィス、ラウンジ、船舶、城など様々な分野のデザインに取り組んでいます。当初はその幅広さに戸惑いを覚えることもありましたが、今では多種多様なお客さまのニーズを分析し、デザインまで落とし込むことにやりがいを感じています。
建築学科では建築に関する専門的な知識はもちろん、アイデアを一つ一つ積み上げていく建設的な考え方も身につけることができます。それは社会に出ても活きていると実感できています。
最後に、建築は自由で楽しいです!完成までは試行錯誤を繰り返し苦労も多いですが自分が考えたものが完成した時の感動、喜びは何ごとにも代え難いです。鹿児島という自然に囲まれた豊かな環境で建築を学べることはきっと将来の財産になるはずです!
何を「どこで」学ぶのか
大学院理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了
西田 銀次(株式会社平成建設 大工工事部)
僕は鹿児島大学大学院を修了後、職人である大工として毎日汗を流しながら楽しく働いています。鹿児島大学で学べたからこそ、大学院を出てから大工になるという、ある意味勇気のいる人生の選択ができたと思っています。
みなさん言われていますが、建築には法律を犯す、構造的に成り立たないなどの絶対的な不正解はあっても本当に確たる答えはありません。敷地条件やお施主様の要望にどう応えるかは、設計士、現場監督、さらには大工と、その人その人によってそれぞれ違います。だからこそ、克服すべき課題に対して多方面からアプローチできる柔軟性と引き出しの多さがあれば解決への糸口がつかみやすく、またより良い結果に結びつきやすいと思っています。
その点、鹿児島は引き出しの数を増やせる宝庫でした。西郷隆盛をはじめとした歴史、黒豚や地鶏、海産物や芋焼酎などの飲食文化、霧島や屋久島などの大自然や離島、温暖な気候ゆえの温かい地元の人々、そして設計課題の徹夜明けに友達と入る温泉など、価値観の幅を広げ、人生を豊かにしてくれる宝庫です。それと鹿児島大学には1年のうちに長期休暇が4ヶ月もあります。その4ヶ月をどう使うかは自分次第ですが、是非あなたの興味のあることや時間のかかる挑戦など、大学生のうちにしかできないことに使ってほしいと思っています。僕は全鹿大生の誰よりも国内外の旅行にバックパック一つで行きました。
また大学には国内外からたくさんの学生が集います。できるだけ多くの人と交流をして、たくさんの考え方や文化に触れていく中で、自分の中で大事にしたいと思う考え方が見えてくると思います。自分の中でブレない芯をしっかり持ちつつも、人の意見にも「そういう考えもあるよなー」と許容出来る柔軟な考えを持つことができれば、きっと鹿児島大学での学生生活は楽しいものになると思います。
これからあなたは今までにないくらいのたくさんの選択を自分自身でしながら生きていくことになります。その選択をするときにも、鹿児島大学で学んだこと、身につけた幅広い価値観は、建築においてだけでなく、先の見えない人生の中の道標になってくれるはずです。僕が今人生の選択をしていくうえで考え方の軸になっているのが「鹿児島での生活」であることは間違いありません。大げさに聞こえるかもしれませんが、大学で学ぶ場所は第二の故郷になります。少なくとも僕にとってはそうなりました。何を学ぶかももちろん大事ですが、進路選択のときにあまり気にすることのない「どこで」学ぶかも一度考えてみてください。そしてあなたも誰のものでもないあなたの意志で選択し、鹿児島という豊かな土地で建築を、そしてこれからの人生の糧を学びましょう!
鹿大建築の強み
建築学科 2019年度卒業
木和田 有美(鹿児島大学大学院理工学研究科 博士前期課程1年)
私は2020年に鹿児島大学工学部建築学科を卒業し、この年に同大学の大学院に進学しました。現在は修士課程1年で計画系の研究室に所属し、明治期の大阪の都市計画案についての研究を行っています。私が故郷である広島から鹿児島に進学して約5年が経ちましたが、5年前の高校3年生時代の進学への不安を今でも覚えています。
私が鹿児島大学の建築学科を志望したきっかけは高校の教頭先生の紹介です。私はもともと数学と物理の力学、デザインが好きで「建築」という分野に関心を持っていました。しかし、特段建築が好きだという訳ではなく、「建築家も図書室の本で読んだ安藤忠雄しか知らない」という状態で受験期を過ごしました。そのため各大学のカリキュラムを見ても違いが分からず正直に言うとピンと来ていませんでした。そのような状況で教頭先生の「建築を学びたいならば鹿児島大学が良い。」という推薦に理由は不明でしたが、妙に後押しされ受験することにしました。
いざ入学が決まると厳しい・忙しいと言われる建築学科で、果たして自分は付いていけるのか非常に不安でしたが、その不安はすぐに吹き飛びました。鹿大の建築学科は基礎を丁寧に指導してもらえます。設計課題やレポートは多く大変ではありますが、必ずフィードバックがもらえます。また、鹿大の建築学科では設計課題などで独自の賞与システムがいくつか存在します。そのため、努力して良い結果を出せば評価して貰えることはもちろん、密に指導を受けるのでその努力の過程も見ていただけるのが鹿大建築学科の特徴だと思います。
また、鹿大の建築学科は歴史が深く全国にOB・OGがいらっしゃるのも強みだと思います。学校生活の中では講演会や学外実習などで卒業された先輩方のご活躍のお話を聞ける機会があります。実際に私は大手企業で活躍されている方や独立された方などの幅広い分野の職業のお話を聞きました。私は南の端の鹿児島大学からでも全国に飛び出し活躍できることを知り、鹿児島大学に来てよかったと感じています。これは私の見解ですが、教頭先生が鹿大建築を勧めたのも古くから先輩方の実績が広島まで響き渡っていたからかなと思っています。
受験生の皆さんも大学選びは不安がいっぱいだとは思いますが、鹿大建築では親身的になってくれる教授や先輩方がたくさんいるので、志望校の一つとしてぜひ検討してみて下さい。
北海道民の鹿児島大学での学生生活
建築学科 2018年度卒業
安田 岳史(理工学研究科博士前期課程進学)
私は北海道の札幌出身なのですが、地元から遠い鹿児島大学に進学したのは、鹿児島大学のカリキュラムに魅力を感じたからです。そのカリキュラムの魅力とは学部1年の前期から「製図・設計」の授業が設けられており、他大学と比べて早い段階から実践的な建築の設計が行えることでした。製図や設計の授業では与えられたテーマに対して自分で考えた建築の製図や模型作りを進めるため、とても自由度が高いです。また、製図室では周りの人とコミュニケーションを取りながら楽しく作業を進めることができます。
学部3年では、海外の建築に興味があり、フィンランドに留学経験のある先生から他大学の留学生を紹介してもらい、北欧へ一人旅をしながら、フィンランドのアアルト大学の見学をさせていただくという貴重な経験をしました。私自身初めての海外だったのでとても刺激を受けました。また、「建築展」という有志の学生が集まり一般に開催するイベントがありました。建築展では学生自らテーマについて話し合い、企業に出資をお願いに足を運び、その出資を元にパンフレットの作成を行うなど学外での活動もありました。そこでは擬似的な社会経験ができたと思います。このように自分が興味を持ったことに挑戦し、様々な経験を積むことができました。
学部4年では研究室に配属されるのですが、私は大学での授業や講演会を受け、元々数学が得意だったこともあり、徐々に構造設計に強く興味を持つようになっていました。そこで研究室配属では構造計算系の研究室に所属することになりました。研究室では通常の授業とは異なり、研究テーマに沿った学習が必要不可欠です。私はそのレベルの高さに苦戦しましたが、研究室の先輩方からのアドバイスや支援もあり、とても助けていただきました。また研究以外でも、研究室内での飲み会やイベントがあり、研究室のつながりはとても強くなったと思います。
最後に、私はこの鹿児島大学での学生生活で自分がやりたいと思ったこと、興味を持ったことを周りにサポートしていただき、様々な経験をさせていただいたと思っています。また、周りの人とのつながりは大切な私の財産になりました。もしもあなたが、鹿児島大学に入学することがあれば、是非興味を持ったこと、周りとのつながりを大切に学生生活を送ってほしいと思います。
将来にわたる経験とつながり
大学院理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了
大槻 一晶(株式会社 大林組 九州支店建築工事部生産企画課)
物心がつく頃には建設現場の前で足を止めるようになっており、そのころから建築業界に行きたいと思うようになったので、建築学科に入りました。その後、大学生時代に、街のランドマークを造りたいという夢ができたため、総合建設会社(ゼネコン)に就職しました。入社して半年は生産設計業務(施工図作成業務)を行い、その後、二か月ほど現場支援業務を行ったのち、現在は、現場で施工管理業務(現場監督)を行っています。
学生時代は、勉強だけでなく、建築展の実行委員・謝恩会の幹事・短期留学・サークル活動など様々な経験をしましたが、研究室での生活が私に一番大きな成長を与えたと感じています。
私は、木質構造の研究を行っていました。最近になって少しずつ注目されているかもしれませんが、木質構造は、これから発展していく分野だと思います。そのような研究ができたのも豊富に木材が採れる鹿児島だからでもありますが、これから発展していく分野の研究は、様々な多くの課題があります。そのため、研究をしていく中で、問題点を認識し、改善策を考え、失敗を減らしていくことを常に考えることの重要性に気づくとともに、それらを人に説明する機会が多かったため、人にどのように説明すればわかりやすいかを常に考えることができるようになったと感じています。建設業は、どの業務も認識力不足やコミュニケーション不足が施工不良や事故につながってしまうので、物事を正しくとらえる認識力や人とのコミュニケーションが重要です。そのため、学生時代の研究室生活で培った経験が現在の仕事に活かされていると思います。
最後に、鹿大は土地柄も相まって、縦横のつながりが強くなりやすく、切磋琢磨できる同期や面倒見の良い先輩・OB・OGが多いので、研究や進路など様々なことを相談しやすい環境にあると感じています。私は、大学に在籍していた時はもちろんのこと就職した今でも、様々なところで同期の仲間や先輩方に、相談に乗っていただいています。自分が困ったときや失敗したときに、自分を助けるものは人とのつながりだと思います。在校生も大学にこれから入学する人も人とのつながりができた際には、その人とのつながりを大切に学生生活を過ごしてほしいと思います。
鹿児島大学で過ごした6年間で得たこと、思うこと。
理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了
倉原 拡大(株式会社 傳設計 設計一部)
私は福岡の建築設計事務所で働く設計職1年目です。私が大学・大学院で過ごした6年間は、自分の人生にとって、大きく意味のある時間でした。そんな私が過ごした日々について、私の経験を踏まえお話ししたいと思います。
【鹿大工学部で得たもの】
私が鹿大工学部で得た、(1) 人とのつながり、(2) 本質を見極める、の2点について説明します。
(1) 人とのつながり
工学部は他の学部と比べ、人とのつながりが強いです。それは、難しい課題を教え合いながら乗り越えたり、グループ作業や研究など、人と協力しながら行う作業が多いからだと思います。そうして得た繋がりは、大学卒業後も続いていくし、大事にしています。卒業した現在も、定期的に学生時代の友人に会い現状報告や相談などをしています。
(2) 本質を見極める
大学を卒業する為には、卒業論文を書かなければなりません。卒業論文を書くために一人一人違うテーマを持ち研究を行います。研究は通常の課題と違い、与えられる問題も決まった答えもありません。研究の背景・目的・方法を思索し、立てた仮説を道しるべに、フィールドワーク・データ収集・実験などを繰り返し、論文を完成へと近づけていきます。就く職種によっては、研究の内容と関連しない事も多くあります。しかし、研究を通して培われた「論理的思考」と「本質を見極める力」は、これからの人生に大きく役立ちます。世の中は単純ではありません。あらゆる事柄が複雑に絡んで問題が生じます。そうした時でも問題の本質を見極め思考し、惑わず進める力を培えたと思います。
【卒業して思うこと】
最後になりますが、少しだけ私の話をしたいと思います。
私が大学1年の時、ある先輩から「これから2年、3年と学年が上がるにつれて、講義・課題も難しくなるから大変だよ」と言われました。確かに、工学部は他の学部と比べ、進級時に留年する人は一定数います。そうしたことも含め、大変なのかと受け取りました。実際、学年が上がるにつれて、忙しく大変になります。ですが、私は大学1年から大学院2年の卒業に至るまで、常に毎年が、右肩上がりに一番楽しく充実していました。
それが私の自慢であり、鹿児島大学工学部・理工学研究科の先生方や、共に過ごした同期や先輩や後輩、そして過ごしやすく学びやすい環境づくりのおかげだと思います。
声を大にして言います。ぜひ、鹿児島大学工学部へ。明るく楽しく充実した日々をつくってみませんか。
失敗を恐れずにチャレンジを
大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2016年度修了
西田 哲朗(株式会社安井建築設計事務所)
私は建築設計事務所で構造設計(4年目)という職種に携わっています。よく建築は人間の身体に例えられますが、構造はその中でも「骨格」にあたる部位です。骨格によってモノのおおまかな造形は決まり、造形的にきれいな建築は美しいです。構造設計とは簡単に言ってしまうと、その骨格にあたる部分を安全に成立させる仕事です。造形的に美しい建築ができるまでには、設計者のいろいろな考え方があり、計算により論理的に成り立っています。もともと物理や数学が好きなので、計算の先に答えがあり、それがかたちになることに共感して、現在の仕事を選びました。
大学院では、自由曲面シェルの形態創生について研究していました。構造的に合理的な「かたち」を見つけだす研究です。この研究で「計算と形」が結びつく構造の面白さにさらにのめり込むようになりました。また、所属していた研究室では対外的に論文を執筆・発表していたため、自分以外の人にどのように説明すればわかりやすいかを常に考えていました。それが現在、建築主に設計内容をプレゼンするときに活きています。特に構造設計では専門的な話が多いため、平易なことばで相手に理解してもらえるように話すような心遣いを大切にしています。
建築設計に限らず仕事をする上では、「人ときちんと話ができること」がとても大事です。大学生活の中で同期・先輩後輩・先生・他大学の人・地域の人など誰とでも屈託なくコミュニケーションするように心掛けるとよいと思います。
大学生活という期間は、自分のやりたいことへのチャレンジに最も時間を割くことができます。その時間が先の人生に与える影響は大きいです。私も鹿児島大学での生活を通して、様々なチャレンジをしました。もちろん失敗も多々ありましたが、それらはすべて自分の糧となりました。これから大学に入学する方・在学中の方には、失敗を恐れず自分のやりたいことにチャレンジする学生生活を過ごしてほしいです。
たくさんの出会いを通して学びのフィールドが広がります
理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2015年度修了
上田 華子(三井住友建設株式会社 建築本部設備部)
わたしは、鹿児島大学大学院を修了しゼネコン(総合建設会社)に入社しました。入社以来、2年間の設備設計の経験、2年間の建設現場での設備施工管理を経験し、現在は再び設備設計の業務に携わっています。現場での経験を経る前と後では、図面に対する責任感は著しく変化しました。図面を描くだけでは分からなかった実際の現場を目の当たりにしてみると、新しい学びや発見があります。
大学に入学する前に想像していた建築の仕事は、デザイナーのような仕事でした。様々な授業を受ける中で、環境設備の分野に興味を持ち、空気質をテーマとした研究を行いました。とくに、わたしの研究内容では他学部の先生に助けていただく機会も多く、さまざまな角度から意見をもらい、いつも新たな発見のある充実した研究生活でした。学びを重ねるにつれて、新たな分野やもっと深く知りたいと思うことに出会えたことは大きな収穫です。また、大学での専門授業は社会人になってからの資格取得に大いに役立ちました。
鹿児島は南国ならではの気候で、自然豊かなスポットもたくさんあり、友人とさまざまな場所に行ったことは大切な思い出です。卒業後も大学時代の友人との交流は大きな支えになっています。
現在の仕事では、国際支店との連携による業務や、省エネだけではない人々の健康や暮らしやすさに関する認証制度への取り組みなど新たな挑戦ばかりです。大学時代に培った積極的な学びの姿勢を活かして取り組んでいきたいと思います。
みなさんも、鹿児島大学でのたくさんの出会いを通して、自分の興味を掘り下げて、深く広く学ぶ経験をしてはいかがでしょうか。
学生生活を通して得たもの
理工学研究科 建築学専攻 2015年度修了
遠矢 将((株)NAP建築設計事務所)
鹿児島大学の皆様、こんにちは。
私は、東京のNAP建築設計事務所という建築設計を専門とする会社に勤めています。ここでは、代表である建築家の中村拓志氏と共にさまざまプロジェクトに取り組んでいます。事務所の特徴として、“ふるまい”をキーワードに、人の動きや感じ方を意識した細やかな設計が行われていることが上げられます。それは、建物の寸法や、光りの入りかた、素材をどうするかなど、あらゆる要素を追求することで実現しています。私が進路として、この場所を選択したのは、“ふるまい”の設計手法を学ぶことが、“大切に使い続けてもらう建築”を設計するために必要であると考えたからです。
学部生の頃は、誰も見たことのない建物をつくりたいと考えていました。そのため、特に設計演習の授業に力を入れて取り組み、自分のアイディアが人から興味や関心を示してもらえるととても嬉しかったことを憶えています。
学部4年から大学院では当時新設された鯵坂研究室に入りました。研究室では、主なテーマとして近現代の建物・建築家に着目したものが多く扱われています。研究以外に、プロジェクトやワークショップ、建物の調査活動なども参加しました。特に、建築家 坂倉準三の展覧会活動や、東京駅百周年記念展覧会での模型製作など、大規模なプロジェクトに参加し、貴重な経験を積むことができました。こういった研究や活動を通して、既存の建物とその背景にある歴史や文化について、何度も考える機会を得ました。
現在の日本では老朽化した建物が使われ続けることは少なく、頻繁に建て替えが行われています。しかし、建物はただ機能的役割を果たすためそこにあるのではなく、地域の風景としてそこで過ごす人々の思い出の一部であり、同時に歴史をかたどる文化的価値を持った存在です。私は学生生活を通して、“使われ続ける建築の意義”を学び、ただ新しいものをつくりたいという考えから“大切に使い続けてもらう建築”をつくりたいという思いを抱きました。そして、卒業後、今の事務所へ入社することを決めました。
設計には答えはありません。答えない仕事を進めるには自分で決断する瞬間があり、そのために思想や信念が必要となります。私は鹿児島大学での生活を通して、その礎となる経験を積むことができたのだと思います。
在学中の皆様も学生生活の中で、自分の信じる道はなにか、夢は、目標はなにか、一度考えてみて下さい。
学生時代に多くの経験を
大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2015年度修了
奥山 尚美(株式会社大林組)
多くの人が足を運ぶ建築をつくりたいと思い、総合建設会社(ゼネコン)設計部に就職しました。入社後半年間は現場研修で施工管理の仕事を経験し、現在は設計部で商業施設、オフィスビル、ホテルの複合物件の実施設計を行っています。入社後はじめに現場を経験したことで、建築への理解が深まったのはもちろんですが、1つの建物が本当に多くの人の力の積み重ねで出来上がっていることを身を持って実感し感動しました。設計部に配属され、わからないことばかりで勉強の日々ですが、最近は建築を見ると学生時代には気にも留めなかったような細かな部分にも目がいくようになり、建築の難しさと面白さを感じています。
学生時代はワークショップ等も含め、国内外いろいろな場所に行きました。その中でもフランスのコルビュジェ建築をまわったことや、九州ならではの地域に根付いた活動にいくつも参加できたこと、他大学との交流等は自分の視野を広げる大きな経験になりました。
大学院では、過疎地域の小学校をテーマとし、過疎地域ならではの2学年以上を1学級に編成した複式学級の調査・研究をし、修士設計としてこれからの小学校の未来像の提案を行いました。実際に時間をかけて調査して見えてきた課題に対する、自分なりの提案をつくっていくのは、それまでの設計課題とは一味違い、とてもおもしろかったです。また、鹿児島にいたからこそできた研究かなと思っています。
大学生活は、自分の知りたいことややりたいことに時間をかけて取り組むことができる時期だと思います。建築は、実体験が大きく活きてくる分野だと思うので、今学生生活を送っているみなさんやこれから入学するみなさんには、積極的にいろいろなところに出かけたり、活動に参加したりして、有意義な時間を過ごしてほしいなと思います。