卒業生インタビュー

自分の可能性を拡げたい人はぜひ、鹿大工学部!!

理工学研究科 機械工学専攻 2017年度修了

恒吉 亮汰(東レエンジニアリング株式会社 エンジニアリング事業本部産機事業部FA技術部製作管理チーム)

 私は、鹿児島大学に、修士期間を含め、6年間お世話になりました。本学を希望した理由は、単純に自分の学力に見合って、就職率が良かったからだと記憶しています。明確な目的がなく入学した私ですが、今から、振り返ると、この選択を間違っていなかったと自信を持って言えます。鹿児島大学工学部の魅力といえば、充実したカリキュラムを通じて、確かな教育を受けられることです。他の学部に比べ、比較的多忙かもしれませんが、勉学に勤しんだ分、研究に生かすことができ、楽しさを見出すことができると思います。また、総合大学ならではの他学部講師の講義を受講できる共通教育や多種多様なサークルの参加により、多くの経験ができます。
 大学院生時代、超音速燃焼ガスの数値シミュレーションの研究を行っていました。ある事象の状態を調べたいとき、実験的に模擬するより、コンピュータで計算する数値シミュレーションのほうが、安価で時間が短縮できる可能性が高いため、非常に有用です。受験生の時、全く考えていなかった分野ですが、大学時代に勉強した流体力学・熱力学の知識が生かし、解析を上手く進んだときは、達成感がありました。また、難しい問題に対して、研究室の皆と一緒に取り組んだときは、とても楽しかったです。
 中学・高校と違い、大学生活は、自由に使える時間がたくさんあります。私は、主にアルバイトやサークルに費やしましたが、その自由な時間を使って、世界一周するという方もいました。自由な時間が多い大学生活は、自分の可能性を拡げるチャンスです。ぜひ、鹿児島大学工学部に入って、自分の可能性を拡げてください。

開発の仕事をやりたいという夢を叶えました!

理工学研究科 機械工学専攻 2016年度修了

廣佐古 晃(三浦工業株式会社 メディカル機器技術部)

 私は高校生のころから数学や物理が好きで、将来は「世の中にない新しいモノを開発したい」と思っていました。鹿児島大学工学部の卒業生の就職先は機械製品のメーカーも多く、ここなら開発の仕事をするための勉強ができると考え入学しました。
 大学へ入学し、初めの三年間は技術者になるための基本的な知識を身に着けました。4年生になると研究室へ配属となって、より深い知識を学びました。私が4年生の時の卒業研究はメーカーとの共同研究でした。そこでメーカーの技術者の方と直接話をするうちに開発の仕事をやりたいという気持ちはより強まりました。その後、鹿児島大学大学院へ進学し材料工学の研究を行いました。大学院では学問のさらに深い知識が必要となり、「まだ世の中で分かっていないコト」を追求し、「知らないコト」「解明されていないコト」に対してどのようにアプローチをかけていけばいいかを学びました。
 大学院卒業後、私は三浦工業へ就職し、現在は設計開発の仕事を行っています。三浦工業は産業用ボイラのトップメーカーで、ボイラ以外にも水処理装置、コンプレッサ、食品機械、メディカル機器など多岐に渡り事業展開しており、私はメディカル機器を設計開発する部署に所属し、医療用滅菌器の設計開発を行っています。
 製品を設計開発するためには、多くの学問が必要になります。ボイラを例に挙げると、燃料の燃焼効率や蒸気発生量を計算するための「熱力学」、高温・高圧に耐えられる機体を設計するために「材料力学」や「製図」の知識、送風機や給水ポンプを製作・選定するために「流体力学」、装置を制御するために「制御工学」や「電気電子工学」も必要です。私は鹿児島大学でこれらの学問を学び、現在の仕事に大きく役立っています。
 高校の勉強は、将来どのような進路に行ってもそれらの基礎となるような勉強をやってきたと思います。工学部ではそこから更に一歩踏み出して、「ものづくりの基礎」となる学問を身に着けていくことになります。将来ものづくりの仕事に携わりたいと考えている方は、ぜひ鹿児島大学工学部への受験を検討してみてください!

今に繋がる大学時代の経験

理工学研究科 機械工学専攻 2016年度修了

松元 一樹(株式会社サムソン 技術本部開発部)

 私は、平成29年3月に鹿児島大学理工学研究科機械工学専攻を卒業し、現在は、株式会社サムソンの開発部隊として日々頑張っています。サムソンは「ボイラ」「食品機器」「水処理機器」の3つを主に製造しており、人の生活には絶対に欠かせない「エネルギー」と「食」を提供する製造機器メーカーです。
 私は、そこでボイラの開発に携わっているのですが、大学生活で学んだ熱力学や流体力学、材料力学などが役に立っています。具体的には、開発品の試験方法を考える時や試験結果の想定をする時に、大学時代の教科書をしばしば開いては参考にしています。ただ、大学院で研究していたことは、今ほとんど参考になることはないです。これは今の仕事内容と大学院時代の研究内容が完全に畑違いだからです。しかし、畑違いと言えども、研究テーマの提案・アイディアの仕方、それを実現するための試験計画の立て方、実現した内容の報告の仕方といったことは、社会に出て仕事をする上で非常に重要なことで、これらを修論発表を通して、自由に自分で研究テーマを決め、計画を立てて、報告・発表することができ、本当に良い経験をしたと感じています。特に「計画を立てる」ことは重要で、仕事の効率に直結し、また、開発品の質にも大きく関わってきてしまうのです。
 とまぁ、堅苦しい言葉ばかり並べてしまったのですが、鹿児島大学はサークル活動も充実していて、私は、音楽系のサークルに所属していたのですが、年に4~6箇所ほど出張演奏を行ったり、ホールを貸しきって講演会を開いたりして、とても楽しく充実していたのを思い出します。学科やサークルでできた友達や後輩と今でもよく遊んだり、飲みに行ったりもします。大学生は多少の制限はありますけど、自由に遊んで、学んで、たくさん経験することのできる時期ですので、大学生活を大いに楽しんでいってください。

興味があることにどんどん挑戦してみてください

大学院理工学研究科 電気電子工学専攻 博士前期課程 2014年度修了

高森 凌(ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社)

 私は現在、スマートフォンのアンテナ設計を行っています。スマホのアンテナは端末のデザインに直結するため制限も多く、いかに特性良く、コンパクトなアンテナを設計するかがポイントです。製品として世の中に出すまでは試行錯誤の毎日ですが、瞬間のひらめきを良いアンテナ特性や端末設計に繋げられた際の喜びはひとしおです。
 大学院ではアンテナの研究をしていたわけではなく、マイクロ波帯の高周波アンプや無線機設計自動化の研究をしていました。何にでも挑戦させてくれる研究室だったたこともあり、何度か学生コンペティションに出場したのですが、その経験は今でも役に立っています。
 レクテナや高周波フィルタをシミュレーションから実装まで行った経験はもちろんですが、鮮烈に記憶に残っているのは、思いもよらないアイデアと技術力で物を作ってくる海外の学生の姿でした。自分が作ったものを嬉しそうに話してくれる姿はとても印象的で、学生のコンペティションといえども、かける熱量がすごかったのを今でも覚えています。当時の彼らの姿勢に習い、社会人になった今でもワクワクする製品設計ができているかどうかは常に意識しています。
 皆さんの大学/大学院での時間はあっという間に過ぎていきます。確実に言えることは、興味があることには絶対に挑戦したほうが良いということです。私が学生コンペティションに出ると決めた際も、身の丈以上のチャレンジだったので不安は大きかったですが、経験して分かることも多かったです。自由な時間が多い今だからこそ、無意識のうちに自分の限界を決めてしまうのではなく、いろいろなことに取り組んでみてください。

鹿児島大学へ入学予定のみなさまへ

理工学研究科 電気電子工学専攻 2013年度修了

船迫 太志(株式会社アドバンテスト ATEビジネスグループ T2000事業本部 システム企画統括部 ソリューション部 ソリューション2課)

 みなさんこんにちは!
 私は鹿児島大学理工学研究科電気電子工学専攻を2014年に修了しました。在学時は人工衛星の地上通信システムに関する研究を理学部と共同で行っていました。現在は”半導体製造装置業界”で働いています。実はこの業界、皆さんにとっても非常に身近な存在です。携帯電話やテレビ、車といったものにはすべて”半導体”と呼ばれる小さな部品がたくさん搭載されています。その”半導体”が正しく動作しているのか確かめるために我々の会社の装置が必要なのです。そんな会社に入社した現在の私の仕事は、自社の製品の技術的サポートをメインに、日本国内にとどまらず世界中のユーザーに対して測定に関する技術提案を行っています。各国のお客様に技術的な提案を行う上で非常に重要なのは電気的基礎知識とコミュニケーション能力であると思います。
 この基礎知識とコミュニケーション能力は、まさに鹿児島大学在学時に培ったものであると確信しています。鹿児島大学ではみんなと協力しながら、自分のやりたいことを突き詰めて新しいものをつくることができる大学です。広い敷地と充実した施設、鹿児島の繁華街までもほど近い環境、自由な発想を伸ばすこの地の利を生かして、自分の分野で、優れたもの、充実した大学生ライフを過ごしてください。それは必ず鹿児島大学オリジナルとしてどこに行っても、世の中に広がっていく可能性があります。
 私の在学していた電気電子工学専攻では、教授の皆様方の厳しくもあたたかいご指導の下、勉強とアルバイトといった学生生活を満喫することができました。学生時代は多くの時間があります。その時間は有効に活用してください。社会人になると学生時代の時間が愛おしく感じます。覚えていてほしいのは、在学中に何か目標をもって日々を生活することです。ただ、ぼーっとしているだけではいけません。そうすれば、より素晴らしい学生ライフを鹿児島大学で送ることができると思います。

電気の魅力を堪能してください

理工学研究科 電気電子工学専攻 2013年度修了

樋渡 裕紀(九州電力株式会社)

 私は高校時代から九州電力への就職を目指していたので、電気を学ぶならここしかないと考え、電気電子工学科に入りました。ただそれだけではなく、昔から電気に興味があり、もっと電気に精通したいと考えていたことも大きな動機です。
 私は、電気こそ人類史上最高の発明だと考えています。現代社会において、電気はあらゆる人々の生活と産業を支える基盤となっており、電気がここまで使えるものとして仕上がったのは、数多の偉人が生涯を費やして研究を重ねてきたからに他なりません。電気電子工学科では、様々な角度から電気を学ぶ中で、その一端を垣間見ることができます。私自身も、講義を受ける中で、過去の偉人の天才的なアイデアに痺れることが少なくありませんでした。そして、未だ解明されていない現象や誰も確立させたことのない技術も世の中にはたくさんあり、大学は、その領域に足を踏み入れることのできる貴重な場でもあります。私は大学院まで進学し、超伝導に関する研究に携わりました。未だ実用化されていないシステムの実現に向けて研究を重ね、その集大成として自らの名前をもって論文を世に出した経験は、今もなお大きな自信となっています。
 学生時代に身につけた知識や技能は、その後の人生においても必ず重宝します。例えば、電気に関する知識は、発電所で電力設備を扱う上で必要不可欠です。また、海外で現地語しか話せないエンジニアと仕事をした際には、図と数式だけで意志の疎通を図りました。言葉はまったく通じない(ランチの際にチキンを食べたい!と伝えたら魚が出てきた)のに、お互いが電気のエンジニアであれば制御回路の設計すら難なくできてしまうのかと感動したことを強く覚えています。
 実生活においても、電気の知識を活用する機会は多いです。例えば、最近はIoTを活用したスマートホームが話題になっており、多種多様な製品が発売されています。私も生活をより快適なものにするべく案を巡らせておりますが、自身の要求をすべて満たしてくれる製品には未だ出会えていません。そんなときに、「じゃあ自分で作るか」という結論に至れるのも、電気を専攻してきた賜物です。
 皆さんも、人生をより豊かにするために、一生使える技術を身につけてみませんか?電気電子工学科はそれを可能とする場所です。ただし、彼女を見つける際は文系の人達よりも頑張らないといけないかもしれません。(私はバイト先で頑張りました。)

海洋土木工学プログラムの魅力

海洋土木工学科 2020年度卒業

江崎 奏音(福岡市役所 道路下水道局 建設部西部道路課)

 私は、高校生の時からまちづくりや港湾に興味があり、海洋土木工学科(現:先進工学科海洋土木工学プログラム)を志望しました。土木工学は道路や河川や水道等のインフラ施設を整備するための私たちの安全な暮らしに欠かせない学問です。海洋土木工学科では、土木工学と海洋学を学ぶことができます。4年生になると研究室に配属され、より専門性の高い知識を身につけることができます。私は、地盤工学・地盤防災が学べる研究室に所属し、土の透水性能について研究を行なっていました。専門的な内容で分からないことがあった時には、先生方や先輩方や研究室の仲間がサポートしてくれたため、知識を深めていくことができました。
 大学卒業後は、福岡市役所に就職し、現在は道路建設の部署に所属しています。道路の拡幅や景観と調和した道路空間の整備、地震等の災害時に電柱倒壊などの防止のため電線を地下に埋める工事や災害復旧工事など様々な工事を行っています。業務内容としては、工事の設計・積算・発注・監督をします。私は、令和2年7月豪雨によって被災した道路の復旧工事を担当しており、大学の研究室で学んだ地盤防災の知識が今の業務に大きく活かされています。
 大学での学びはどんな事も仕事に繋がっていると感じています。勉強やサークルやアルバイトなど全てが貴重な経験となると思います。これから進路を決める皆さんは目標に向かって頑張ってください。

大学時代に学んだことが日々の業務で活きています

理工学研究科 海洋土木工学専攻 2008年度修了

松元 淳一(大成建設株式会社技術センター社会基盤技術研究部)

 私は海洋土木工学科にて、建設、水理、構造、土質について学びました。その中でも、建設(特にコンクリート)に興味を持ち、大学院まで進学しました。当時はコンクリートの耐久性に関する研究に没頭し、先輩・後輩と協力しながら、楽しい日々を過ごすことができたと記憶しています。現在は、研究開発を行いながら、当社現場におけるコンクリート構造物の施工や維持管理に関する技術指導を行っています。日々の業務において、研究開発に取り組む姿勢やコミュニケーション能力など、大学時代に学んだことが十分に活かさせていると感じています。今後は、建設業界に携わる人材の減少に対応するための技術開発を行う所存です。
 最後に、大学院まで進学したことで、多くの知識や経験が得ることができ、入社後は即戦力として、世界を含む全国各地へ指導・支援に赴いて、重要構造物の構築に携われます。また、研究機関への出向や海外留学も可能となります。大学院に進学した当時の判断は、私の人生で最も重要な判断の一つでしたが、そこで正解したことでいまの私があると思っています。

環境化学プロセス工学の将来に期待

工学部 化学工学科 1974年度卒業

前田 雄一(株式会社日阪製作所 代表取締役会長)

 鹿児島大学工学部在学生および環境プロセス工学科を志望されている受験生の皆さん、遊びたい盛りの時に「勉強」、お疲れ様です。私は株式会社日阪(ひさか)製作所で働いている前田と申します。今から44年前に卒業し、大阪で社会人としての第一歩を踏み出しました。当時は化学工学科と応用化学科がありましたが、自分の将来を真剣に考えることも無く、先輩が在籍されていた化学工学科を受験しました。大学時代には積極的に遊びましたので、就職活動時には大半が大手の企業に就職する中、就職担当の先生に無理やり推薦して頂き、中堅機械メーカーの当社を受験しました。当時は大阪2部上場の会社で特殊な化学機械を作っている会社程度の知識で入社しました。鹿大からの入社は私が初めてで、新入社員研修、現場実習が終わると、すぐに熱交換器の営業に配属になりました。せっかく工学部で勉強してきたのですから(本当は遊び中心でした・・)と設計開発を希望したのですが、適性検査結果から営業向きと言われ、しぶしぶ了承しました。田舎なまりが強かった事もあり、最初は電話を取るのも嫌でしたが、いざ営業の実務に入ると分らない事ばかりで、学生時代の本を引っ張り出しては「ああ、あの時先生はこういうことを言っておられたのか!」と驚くことばかりで、夢中で学びました。今ではその名も知られていないアナログ式の計算尺を使ってプレート式熱交換器の伝熱面積を計算したり、お客様のプラントのプロセスをフローシートとして手書きしては、自分が売り込む熱交換器の仕様を予測したりと学生時代の何倍も勉強をしなければ、先輩や同僚についていけない状態でした。
 それでも、化学や化学工学の知識はセールスエンジニアとして大いに役立ちました。
 お客様の目の前で計算尺を使い、熱交換器の伝熱面積を計算すると「大丈夫か?」みたいな顔をされるのはしょっちゅうでしたが、しつこく通っているうちに信用して頂けるようになりました。化学、鉄鋼、船舶、食品、機械金属、空調、電力等の様々な分野に熱交換器を売り歩き、いろんな人と出会い、化学工学の知識がどんな分野でも役立つことを実践の中で強く感じました。
 今、世界は環境対策に躍起になっており、特に脱炭素社会を目指した動きが活発になっています。日本では東日本大震災があったため、やむなく石炭火力の技術を高め、広めようとしていますが、その内ヨーロッパのように火力発電そのものが否定される世の中が来るのは、そう遠くないと思います。今こそ、環境化学プロセス工学を学び、環境に優しい社会の為の商品開発やエンジニアリングを行うべき時だと考えます。
地球の温暖化対策は待った無しの状態です。次の世代に残すクリーンエネルギーや環境技術開発には、応用化学や化学工学の知識十分に生かされます。自分たちが造る綺麗な地球を想像しながら、自信を持って環境プロセス工学を学ばれることをお勧めいたします。

化学生命工学科で夢に向かってチャレンジ!

化学生命・化学工学専攻 2015年度修了

荒巻 力也(生化学工業株式会社 研究開発本部中央研究所)

 私は鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻を修了し、生化学工業株式会社で働いています。現在の主な仕事は、有機合成化学を基盤とした創薬研究です。新薬を開発する上での「種」となる化合物をデザインして具現化し、その化合物のポテンシャルを評価しながら目指す新薬の開発に向けて日々研究しています。  
 研究職を含め、社会に出ると色々な専門を背景に持つ人と協力して業務を推進していきます。特に「ものづくり」をしていく上では、その分野の専門知識に限らない多角的な視点が必須です。化学生命工学科では、化学・物理・生物等の幅広い専門知識を身に付けることが出来、これが仕事を進める上での自分の強みになると思います。また、色々なことに挑戦できる環境が整っており、学生生活中の遊びを含めた出会いを通じて生涯の友人を見つけることも、思いのほか自分に向いていると思える物事に巡り合う機会もあるかと思います。
 沢山のチャンスに恵まれた化学生命工学科で、充実した学生生活を送ってみてはいかがですか?

様々なことに挑戦できる環境

化学生命・化学工学専攻 2014年度修了

永田 野々香(シスメックス株式会社)

 現在私は、医療機器メーカーであるシスメックス株式会社で営業職として勤務しています。シスメックス株式会社では、主に血液や尿、細胞などを採取して調べる検査に利用する機器を販売しており、ヘマトロジー(血液中の赤血球や白血球などの数や種類、大きさを分析することにより、精密な検査が必要かどうかを判断するための検査)の分野においては、弊社の機器が世界で最も多く利用されています。
 私は高校生の頃から生物や遺伝子、数学が好きだったため、理系の大学に進むことを決めていました。しかし、その頃は将来なりたい職業や夢などは全く決まっていませんでした。そのため大学入学後、自分で興味のあることにできるだけ多く挑戦してみることにしました。1つ目は研究室で疾患診断薬を開発すること、2つ目は国際交流を積極的に行うことでした。これらの挑戦から得られたこととして「成し遂げる力」を養うことが出来ました。日々の研究では実験の失敗が当たり前で、次はどうすれば成功するかを常に考えていました。修士論文の作成は非常に根気が必要であったため、書き終えた際の喜びは今でも忘れることはできません。また、国際交流を行うにあたって、英語学習にも力を入れ、実際に鹿児島大学のプログラムを利用してシリコンバレーのバイオコンサルティング会社でのインターンシップや、台湾で世界中のエンジニア専攻の学生との交流も行うことが出来ました。鹿児島大学での学生生活を通してこれらの経験を積んだことで、グローバルに活躍できる医療機器メーカーに就職することが出来、また、学生生活で得られたことのすべてが現在の業務に役立っていると感じます。
 鹿児島大学には熱心に指導してくれる先生方や先輩方が沢山います。また、魅力的な研究室や大学のプログラムも多数存在します。素晴らしい環境でかけがえのない学生生活を送ってみて下さい。

いろんなことにどんどんチャレンジしてください!

理工学研究科 ナノ構造先端材料工学専攻 博士前期課程 2010年修了

酒見 千穂(川澄化学工業株式会社)

 卒業後、医療機器メーカーに入社し、現在は人事部で仕事を行っています。人事部では新卒採用に3年携わりましたが、会社説明会で出会う学生に必ず、「なぜ理系なのに人事なのか?学んだことが活かせるのか?」と聞かれます。大学時代での経験で、私が最も役立っていると思うのは、週報会や卒論・修論など、人前で話す場を多く経験できたことです。
 学部での卒論は、ポスター発表でした。自分の研究を深く知らない同期も聞きに来るので、自分の中では既に「当たり前」になっている原理も一から説明する必要があり、本当に理解していなければ相手にわかるようには説明できないのだと痛感しました。当時の担当教授は「研究は高校生にわかるように説明しろ」という方で、おかげで相手の理解度や認識のギャップを確認しながら話す癖がつきました。会社では、自分のアイデアを説明する機会がたくさんあり、違う部署の人や取引先、ときには経営陣に対して説明することもありますので、相手に合わせて共通認識を作る必要性に気付けたのは、自分にとって貴重で今に活きる経験だったと思います。
 学生生活においては、何か1つでもいいので、目標を決めて取り組んだ経験を持ってほしいと思います。自分の学生生活を振り返ると、「絶対~する」と目標を決めたものは、「結果的にうまく行った」ものよりも、成功したときに自信につながったように思います。大学生活は、自分で時間をコントロールできる、貴重な4年間なので、いろんなことにどんどんチャレンジしてください!

受験生へのメッセージ

理工学研究科 情報生体システム工学専攻 2019年度修了

松本 航一朗(ファナック株式会社 IT本部業務システム部)

 皆さんは将来に対するビジョンはありますか?目標は持っていますか?実際、僕はそういったものは受験当時あまり持っていませんでした。じゃあなんで大学を受験したの?この学科を受験したの?と思われる人もいると思います。僕は一つの”面白そう”と感じた事柄がきっかけでした。昔からゲームが好きで、「将来自分でゲーム作れたら面白そう」と感じて色々調べてプログラミングの知識が必要だという事が分かり、この学科を受験しました。
 大学は高等教育とは違い、”自分のやってみたい”事について学んでいく場だと僕は考えています。なので、自分が将来”やってみたい”事についてまずは考えてみてください。それがあなたの個性となり、探求心に繋がるはずです。人は”楽しい”と思うことには意欲的に行動しますが、”楽しくない”と思うことには消極的になって何もしなくなります。これは勉強だけではなく、全てに通ずると思います。
 大学での勉強というのは、より専門的な知識を学ぶ事が出来る場です。その中で自分の”やりたい”事を学んでいる人と”やりたくない”事を学んでいる人とでは、将来、天と地ほどの差が出ることでしょう。つまり、大学の学びにおいて探求心や好奇心がどれ程将来を左右するのかは火を見るより明らかだと思います。
 そして、全ての人において時間というものは平等に与えられています。一人だけ「俺一日28時間あるから」なんて人はこの世にいません。大学生活における時間も平等に与えられています。大学に在学している日数は365日×4年間で1460日となり、時間計算すると1460日×24時間で約3万5千時間になります。「めちゃめちゃ時間あるやん」と思うかもしれませんが、これは小学校へ入学してから卒業するよりも短い時間です。あっという間に過ぎてしまいます。
 是非この時間を1分でも1秒でも自分の将来”やりたい”事に時間を割いてみてください。きっとそれは、皆さんのこれからの人生を豊かにしてくれると思います。
 そして、その”やりたい”事をするための学びの場が、この鹿児島大学にあれば進学して、多くの学びを得られればと思います。

あなたの夢を研究する学び場

情報生体システム工学専攻 2018年度修了

山口 莞爾(凸版印刷株式会社 本社 製造統括本部 製造技術センター)

 あなたの夢はなんですか?何に興味がありますか?勉強でも、恋愛でも、スポーツでも、ゲームでも何でも良いです。私は興味のあることは、とことん追求するべきだと考えています。まだまだ、若輩者ですが、今まで出会ったきた人の中で、とびきり輝いている人は自身の「好き」に素直な方でした。バイト経験から飲食店経営に乗り出したり、旅行好きが高じてグローバルなビジネスマンになったり、プログラミングの虫になって気づくと素晴らしい研究業績を残したりと、彼らは脇目も振らず、周囲を巻き込んで、勝手に楽しいそうに進んでいきます。ずばり、彼らは自身の興味のある分野を四六時中、探究している人たちです。その上で、大学とは好きを実現する格好の場所だと断言できます。

 大学とは学問を研究する場所でもありますが、それだけではないと思っています。高等教育の延長戦ではなく、「自身の夢」を研究する場所です。講義はさっさと受けて、自身の興味に時間を費やせば良いのです。
もちろん、単位を落としはいけません、周囲の人たちが悲しむ上に、あなた自身が余計なことで苦しんでしまうからです。何においてもプロフェッショナルになるには、1万時間かかると言われています。
1万時間を6年で割ると1日約4.5時間掛かります。人によるとは思いますが、好きなことであれば4.5時間であろうが何時間でも出来ると思っています。裏を返せば、社会に出てしまうと4.5時間を確保するには相当の苦労が掛かってしまいます。なればこそ、ある程度の時間を確保できる大学生活は、「自身の夢」を研究する絶好の機会と場所です。

 最後に、決して汎個性な人にならないで下さい。SNSに代表される様なこれからのオープンな時代は、掛け替えのない個性を持った人が求められていると思います。是非とも鹿児島大学に進学して、掛け替えのない個性を成長させ、夢を研究することであなたの人生が豊かになればと思います。

好きなことをじっくり研究できる環境

大学院理工学研究科 情報生体システム工学専攻 博士前期課程 2015年度修了

木場 仁美(KDDI)

 私の大学での研究内容は人工知能のアルゴリズムを使って「タイリング可能な図形」を作るというものでした。タイリングとは、図形を平面に隙間なく、かつ、重なりなく敷き詰めることです。プログラムがパターンを学習するたびに、生成される図形がどんどん良くなっていくことが面白くて、夢中になっていました。
 私はもとから、絵を描くことや、カラフルな連続模様のデザインが好きでした。タイリングの研究は、オランダの画家「エッシャー」の作品であるタイリングアートからきているのですが、プログラムが自動生成した図形に自分で絵を描いて「オリジナルのエッシャー風タイリングアート」を作ることが何より楽しかったです。また、自分の研究が身の回りのデザインに実際に生かされることを想像するとわくわくして、やる気につながっていました。情報生体システム工学科では、他にも音楽やスポーツ、ファッションなどに関わるシステムを研究している人もいて、「自分の好きなことを研究できる環境」だったと思います。
 鹿児島大学だからこそできた経験といえば、県の工業技術センターのレーザーマシンで木製タイルを作ってもらったり、大学広報と協力して意匠権を獲得し「さっつん」のタイリングアートでクリアファイルを作ったりしました。また、私は理系では珍しく?直感的なタイプだったので、理路整然と意見を述べることが難しく、論文を書くことが苦手でした。そんな状況でも、先生は親身に夜遅くまで指導、添削してくださいました。このように周囲を巻き込んでアイデアを形にしたり、苦手なことに向き合えたのは、地域の機関や、先生との距離が近い鹿児島大学だからこそだったと思います。
 私は今、KDDI株式会社で、通信インフラを支える設備の保守運用業務に従事しています。会社ではサーバ仮想化や運用自動化がホットな話題となっており、大学の研究で学んだ「人工知能などの技術を利用して、人間がやると大変なことを自動でやる」といった考えはどの分野でも通用することを実感しています。また、鹿児島大学で「アイデアを形にする」経験が多くできたおかげで、会社でも自ら行動し、業務効率化を実現できています。
このように、鹿児島大学という環境は、社会でも通用する技術や考えを培えます。ものづくりに興味のある方は、ぜひ受験を検討してみてください!!

様々な経験が「豊かな感性」を形成する

情報生体システム工学科 2012年度卒業

塩盛 秀彰(国立高等専門学校機構 鹿児島工業高等専門学校 学生課教務係)

 私が在籍していた情報生体システム工学科は、情報系と生体系の複合学科のため、学修できる分野が多岐に渡っていて、幅広い選択肢があります。一つの分野に固執することなく、様々な分野を学ぶことができるため、4年間という時間の中で自分の好きな分野を見つけることができると思います。
 私は、情報系の研究室に所属しており、私の研究テーマはブローバンド普及阻害要因を検証することでした。自分の研究に関することやそれ以外の事にも様々な取り組みに参加させていただきました。鹿屋市での自転車競技のインターネットLIVE配信や地域の方向けのパソコン教室に補助学生として参加しました。その他にも、九州内の大学の学生が参加したICT活用による地域の課題を解決するオープンスクールに参加したり、地域イベントなどのボランティア活動にも参加しました。
 大半の学生が企業に就職する中、私の場合は少し稀なケースで、昼間に大学に通いながら、夜間で専門学校に通い、公務員試験の勉強をしておりました。地元鹿児島に残り、地域のため、学生のために働きたいと思い、その目標に向かって、2年生の終わりから、Wスクールを始めました。大学生活は十分な時間があります。両立はとても大変でしたが、時間を無駄にしないように大学と公務員の勉強時間を確保し、余った時間を好きなことに充て、大変充実した日々を送れたと思っています。そして、国立大学法人試験を受けて、今は鹿児島高専で事務職員として働いています。大学での経験を活かし、学生にアドバイスを行ったり、地域のために自治体などと協力して活動を行っています。学生のため、地域のために働きたいと思うようになったのも、鹿児島大学に進学をして、地域のために活動をしていたからだと思います。
 初めから進路を決めて入学される方も、そうでない方も、様々なことに参加、挑戦をして、たくさんの経験をしてみてください。そして、いろいろと見聞を広げてから、改めて考えてみてください。自分が本当になりたいものが見えてくると思います。
 明治産業改革の構成遺産である尚古集成館のあるここ鹿児島の地で、伝統と歴史のある鹿児島大学でぜひ学びませんか。そして、鹿児島の発展のために、一人でも多くの学生が鹿児島に残ってくれたら嬉しいです。

建物を造る感動

大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2008年度修了

大川 光雄(株式会社竹中工務店 大阪本店技術部計画2G 課長)

 私は子供のころから憧れていた福岡ドームをつくった会社に入りたいと思い、竹中工務店(ゼネコン)に入社しました。入社後1年間は新社員の同期195名と寮生活をしながら、作業所と内勤2部門(設計部構造グループ・技術部)を4ヶ月ローテーションで経験し、2年目から作業所(施工管理)に本配属となりました。約9年間の作業所経験を経て、現在は技術部計画グループで仮設計画・工程計画を行っています。若手作業所時代は、右も左もわからず専門用語が飛び交う中で毎日がむしゃらに作業所を走り回っていましたが、最初に携わったプロジェクトで、足場で隠れていた外壁が、足場解体と同時に真っ白で綺麗に仕上がった外壁が見えた瞬間の感動は今でも忘れられない瞬間です。

 どんな建物でも大なり小なり困難が発生します。限られた工事期間の中、建築主様のために幾多の困難を乗り越えていくからこそ、出来上がった瞬間の感動は何物にも代えがたいものになります。また私には小学生の子供がいますが、私が携わった大型ショッピングセンターへ一緒に行くたびに、「あの建物パパが作ったんだよね。」と喜んでくれる姿を見れるのも建設業の醍醐味の一つかなと思います。

 学生時代は学部4年から大学院までの3年間は塩屋研究室(通称、塩研)に入りました。学生よりもエネルギッシュな塩屋先生の指導のもと、自分たちで設計した実験用試験体の鉄筋・型枠を組んだり、コンクリートを打設したりとトライ&エラーを繰り返しながら自分たちの手で作り上げるプロセスの中で、ものづくりの醍醐味を覚えました。また、学生の立場にありながら自分たちの実験の成果を各種学会で発表する機会を与えてもらったことは、非常に貴重な経験をできたと同時に大きな自信にもつながりました。

 入社した当時は全国の大学・高専から集まった優秀な同期に対しコンプレックスを感じることもありました。でも、鹿児島大学で過ごした6年間で培った自信のおかげで、すぐにそんな心配はなくなりました。そういう意味で鹿児島大学を選択したことは間違いなかったと断言できます。

 鹿児島大学建築学科はこれから大学生活を始める皆さんを大きく成長させてくれる、教育環境がそろっています。ぜひ志望校の一つとして検討してみて下さい。

建築は自由で楽しい!

大学院理工学研究科 建築学専攻 2018年度修了

竹島 光志郎(株式会社丹青社)

 私はデザイナー職として、博物館やショールーム、オフィス、ラウンジ、船舶、城など様々な分野のデザインに取り組んでいます。当初はその幅広さに戸惑いを覚えることもありましたが、今では多種多様なお客さまのニーズを分析し、デザインまで落とし込むことにやりがいを感じています。

 建築学科では建築に関する専門的な知識はもちろん、アイデアを一つ一つ積み上げていく建設的な考え方も身につけることができます。それは社会に出ても活きていると実感できています。

 最後に、建築は自由で楽しいです!完成までは試行錯誤を繰り返し苦労も多いですが自分が考えたものが完成した時の感動、喜びは何ごとにも代え難いです。鹿児島という自然に囲まれた豊かな環境で建築を学べることはきっと将来の財産になるはずです!

何を「どこで」学ぶのか

大学院理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了

西田 銀次(株式会社平成建設 大工工事部)

 僕は鹿児島大学大学院を修了後、職人である大工として毎日汗を流しながら楽しく働いています。鹿児島大学で学べたからこそ、大学院を出てから大工になるという、ある意味勇気のいる人生の選択ができたと思っています。

 みなさん言われていますが、建築には法律を犯す、構造的に成り立たないなどの絶対的な不正解はあっても本当に確たる答えはありません。敷地条件やお施主様の要望にどう応えるかは、設計士、現場監督、さらには大工と、その人その人によってそれぞれ違います。だからこそ、克服すべき課題に対して多方面からアプローチできる柔軟性と引き出しの多さがあれば解決への糸口がつかみやすく、またより良い結果に結びつきやすいと思っています。

 その点、鹿児島は引き出しの数を増やせる宝庫でした。西郷隆盛をはじめとした歴史、黒豚や地鶏、海産物や芋焼酎などの飲食文化、霧島や屋久島などの大自然や離島、温暖な気候ゆえの温かい地元の人々、そして設計課題の徹夜明けに友達と入る温泉など、価値観の幅を広げ、人生を豊かにしてくれる宝庫です。それと鹿児島大学には1年のうちに長期休暇が4ヶ月もあります。その4ヶ月をどう使うかは自分次第ですが、是非あなたの興味のあることや時間のかかる挑戦など、大学生のうちにしかできないことに使ってほしいと思っています。僕は全鹿大生の誰よりも国内外の旅行にバックパック一つで行きました。

 また大学には国内外からたくさんの学生が集います。できるだけ多くの人と交流をして、たくさんの考え方や文化に触れていく中で、自分の中で大事にしたいと思う考え方が見えてくると思います。自分の中でブレない芯をしっかり持ちつつも、人の意見にも「そういう考えもあるよなー」と許容出来る柔軟な考えを持つことができれば、きっと鹿児島大学での学生生活は楽しいものになると思います。

 これからあなたは今までにないくらいのたくさんの選択を自分自身でしながら生きていくことになります。その選択をするときにも、鹿児島大学で学んだこと、身につけた幅広い価値観は、建築においてだけでなく、先の見えない人生の中の道標になってくれるはずです。僕が今人生の選択をしていくうえで考え方の軸になっているのが「鹿児島での生活」であることは間違いありません。大げさに聞こえるかもしれませんが、大学で学ぶ場所は第二の故郷になります。少なくとも僕にとってはそうなりました。何を学ぶかももちろん大事ですが、進路選択のときにあまり気にすることのない「どこで」学ぶかも一度考えてみてください。そしてあなたも誰のものでもないあなたの意志で選択し、鹿児島という豊かな土地で建築を、そしてこれからの人生の糧を学びましょう!

鹿大建築の強み

建築学科 2019年度卒業

木和田 有美(鹿児島大学大学院理工学研究科 博士前期課程1年)

 私は2020年に鹿児島大学工学部建築学科を卒業し、この年に同大学の大学院に進学しました。現在は修士課程1年で計画系の研究室に所属し、明治期の大阪の都市計画案についての研究を行っています。私が故郷である広島から鹿児島に進学して約5年が経ちましたが、5年前の高校3年生時代の進学への不安を今でも覚えています。
 私が鹿児島大学の建築学科を志望したきっかけは高校の教頭先生の紹介です。私はもともと数学と物理の力学、デザインが好きで「建築」という分野に関心を持っていました。しかし、特段建築が好きだという訳ではなく、「建築家も図書室の本で読んだ安藤忠雄しか知らない」という状態で受験期を過ごしました。そのため各大学のカリキュラムを見ても違いが分からず正直に言うとピンと来ていませんでした。そのような状況で教頭先生の「建築を学びたいならば鹿児島大学が良い。」という推薦に理由は不明でしたが、妙に後押しされ受験することにしました。
 いざ入学が決まると厳しい・忙しいと言われる建築学科で、果たして自分は付いていけるのか非常に不安でしたが、その不安はすぐに吹き飛びました。鹿大の建築学科は基礎を丁寧に指導してもらえます。設計課題やレポートは多く大変ではありますが、必ずフィードバックがもらえます。また、鹿大の建築学科では設計課題などで独自の賞与システムがいくつか存在します。そのため、努力して良い結果を出せば評価して貰えることはもちろん、密に指導を受けるのでその努力の過程も見ていただけるのが鹿大建築学科の特徴だと思います。
 また、鹿大の建築学科は歴史が深く全国にOB・OGがいらっしゃるのも強みだと思います。学校生活の中では講演会や学外実習などで卒業された先輩方のご活躍のお話を聞ける機会があります。実際に私は大手企業で活躍されている方や独立された方などの幅広い分野の職業のお話を聞きました。私は南の端の鹿児島大学からでも全国に飛び出し活躍できることを知り、鹿児島大学に来てよかったと感じています。これは私の見解ですが、教頭先生が鹿大建築を勧めたのも古くから先輩方の実績が広島まで響き渡っていたからかなと思っています。
 受験生の皆さんも大学選びは不安がいっぱいだとは思いますが、鹿大建築では親身的になってくれる教授や先輩方がたくさんいるので、志望校の一つとしてぜひ検討してみて下さい。

北海道民の鹿児島大学での学生生活

建築学科 2018年度卒業

安田 岳史(理工学研究科博士前期課程進学)

 私は北海道の札幌出身なのですが、地元から遠い鹿児島大学に進学したのは、鹿児島大学のカリキュラムに魅力を感じたからです。そのカリキュラムの魅力とは学部1年の前期から「製図・設計」の授業が設けられており、他大学と比べて早い段階から実践的な建築の設計が行えることでした。製図や設計の授業では与えられたテーマに対して自分で考えた建築の製図や模型作りを進めるため、とても自由度が高いです。また、製図室では周りの人とコミュニケーションを取りながら楽しく作業を進めることができます。
 学部3年では、海外の建築に興味があり、フィンランドに留学経験のある先生から他大学の留学生を紹介してもらい、北欧へ一人旅をしながら、フィンランドのアアルト大学の見学をさせていただくという貴重な経験をしました。私自身初めての海外だったのでとても刺激を受けました。また、「建築展」という有志の学生が集まり一般に開催するイベントがありました。建築展では学生自らテーマについて話し合い、企業に出資をお願いに足を運び、その出資を元にパンフレットの作成を行うなど学外での活動もありました。そこでは擬似的な社会経験ができたと思います。このように自分が興味を持ったことに挑戦し、様々な経験を積むことができました。
 学部4年では研究室に配属されるのですが、私は大学での授業や講演会を受け、元々数学が得意だったこともあり、徐々に構造設計に強く興味を持つようになっていました。そこで研究室配属では構造計算系の研究室に所属することになりました。研究室では通常の授業とは異なり、研究テーマに沿った学習が必要不可欠です。私はそのレベルの高さに苦戦しましたが、研究室の先輩方からのアドバイスや支援もあり、とても助けていただきました。また研究以外でも、研究室内での飲み会やイベントがあり、研究室のつながりはとても強くなったと思います。
 最後に、私はこの鹿児島大学での学生生活で自分がやりたいと思ったこと、興味を持ったことを周りにサポートしていただき、様々な経験をさせていただいたと思っています。また、周りの人とのつながりは大切な私の財産になりました。もしもあなたが、鹿児島大学に入学することがあれば、是非興味を持ったこと、周りとのつながりを大切に学生生活を送ってほしいと思います。

将来にわたる経験とつながり

大学院理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了

大槻 一晶(株式会社 大林組 九州支店建築工事部生産企画課)

 物心がつく頃には建設現場の前で足を止めるようになっており、そのころから建築業界に行きたいと思うようになったので、建築学科に入りました。その後、大学生時代に、街のランドマークを造りたいという夢ができたため、総合建設会社(ゼネコン)に就職しました。入社して半年は生産設計業務(施工図作成業務)を行い、その後、二か月ほど現場支援業務を行ったのち、現在は、現場で施工管理業務(現場監督)を行っています。
 学生時代は、勉強だけでなく、建築展の実行委員・謝恩会の幹事・短期留学・サークル活動など様々な経験をしましたが、研究室での生活が私に一番大きな成長を与えたと感じています。
 私は、木質構造の研究を行っていました。最近になって少しずつ注目されているかもしれませんが、木質構造は、これから発展していく分野だと思います。そのような研究ができたのも豊富に木材が採れる鹿児島だからでもありますが、これから発展していく分野の研究は、様々な多くの課題があります。そのため、研究をしていく中で、問題点を認識し、改善策を考え、失敗を減らしていくことを常に考えることの重要性に気づくとともに、それらを人に説明する機会が多かったため、人にどのように説明すればわかりやすいかを常に考えることができるようになったと感じています。建設業は、どの業務も認識力不足やコミュニケーション不足が施工不良や事故につながってしまうので、物事を正しくとらえる認識力や人とのコミュニケーションが重要です。そのため、学生時代の研究室生活で培った経験が現在の仕事に活かされていると思います。
 最後に、鹿大は土地柄も相まって、縦横のつながりが強くなりやすく、切磋琢磨できる同期や面倒見の良い先輩・OB・OGが多いので、研究や進路など様々なことを相談しやすい環境にあると感じています。私は、大学に在籍していた時はもちろんのこと就職した今でも、様々なところで同期の仲間や先輩方に、相談に乗っていただいています。自分が困ったときや失敗したときに、自分を助けるものは人とのつながりだと思います。在校生も大学にこれから入学する人も人とのつながりができた際には、その人とのつながりを大切に学生生活を過ごしてほしいと思います。

鹿児島大学で過ごした6年間で得たこと、思うこと。

理工学研究科 建築学専攻 2017年度修了

倉原 拡大(株式会社 傳設計 設計一部)

 私は福岡の建築設計事務所で働く設計職1年目です。私が大学・大学院で過ごした6年間は、自分の人生にとって、大きく意味のある時間でした。そんな私が過ごした日々について、私の経験を踏まえお話ししたいと思います。
【鹿大工学部で得たもの】
 私が鹿大工学部で得た、(1) 人とのつながり、(2) 本質を見極める、の2点について説明します。
(1) 人とのつながり
 工学部は他の学部と比べ、人とのつながりが強いです。それは、難しい課題を教え合いながら乗り越えたり、グループ作業や研究など、人と協力しながら行う作業が多いからだと思います。そうして得た繋がりは、大学卒業後も続いていくし、大事にしています。卒業した現在も、定期的に学生時代の友人に会い現状報告や相談などをしています。
(2) 本質を見極める
 大学を卒業する為には、卒業論文を書かなければなりません。卒業論文を書くために一人一人違うテーマを持ち研究を行います。研究は通常の課題と違い、与えられる問題も決まった答えもありません。研究の背景・目的・方法を思索し、立てた仮説を道しるべに、フィールドワーク・データ収集・実験などを繰り返し、論文を完成へと近づけていきます。就く職種によっては、研究の内容と関連しない事も多くあります。しかし、研究を通して培われた「論理的思考」と「本質を見極める力」は、これからの人生に大きく役立ちます。世の中は単純ではありません。あらゆる事柄が複雑に絡んで問題が生じます。そうした時でも問題の本質を見極め思考し、惑わず進める力を培えたと思います。
【卒業して思うこと】
 最後になりますが、少しだけ私の話をしたいと思います。
私が大学1年の時、ある先輩から「これから2年、3年と学年が上がるにつれて、講義・課題も難しくなるから大変だよ」と言われました。確かに、工学部は他の学部と比べ、進級時に留年する人は一定数います。そうしたことも含め、大変なのかと受け取りました。実際、学年が上がるにつれて、忙しく大変になります。ですが、私は大学1年から大学院2年の卒業に至るまで、常に毎年が、右肩上がりに一番楽しく充実していました。
それが私の自慢であり、鹿児島大学工学部・理工学研究科の先生方や、共に過ごした同期や先輩や後輩、そして過ごしやすく学びやすい環境づくりのおかげだと思います。
 声を大にして言います。ぜひ、鹿児島大学工学部へ。明るく楽しく充実した日々をつくってみませんか。

失敗を恐れずにチャレンジを

大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2016年度修了

西田 哲朗(株式会社安井建築設計事務所)

 私は建築設計事務所で構造設計(4年目)という職種に携わっています。よく建築は人間の身体に例えられますが、構造はその中でも「骨格」にあたる部位です。骨格によってモノのおおまかな造形は決まり、造形的にきれいな建築は美しいです。構造設計とは簡単に言ってしまうと、その骨格にあたる部分を安全に成立させる仕事です。造形的に美しい建築ができるまでには、設計者のいろいろな考え方があり、計算により論理的に成り立っています。もともと物理や数学が好きなので、計算の先に答えがあり、それがかたちになることに共感して、現在の仕事を選びました。
 大学院では、自由曲面シェルの形態創生について研究していました。構造的に合理的な「かたち」を見つけだす研究です。この研究で「計算と形」が結びつく構造の面白さにさらにのめり込むようになりました。また、所属していた研究室では対外的に論文を執筆・発表していたため、自分以外の人にどのように説明すればわかりやすいかを常に考えていました。それが現在、建築主に設計内容をプレゼンするときに活きています。特に構造設計では専門的な話が多いため、平易なことばで相手に理解してもらえるように話すような心遣いを大切にしています。
 建築設計に限らず仕事をする上では、「人ときちんと話ができること」がとても大事です。大学生活の中で同期・先輩後輩・先生・他大学の人・地域の人など誰とでも屈託なくコミュニケーションするように心掛けるとよいと思います。
 大学生活という期間は、自分のやりたいことへのチャレンジに最も時間を割くことができます。その時間が先の人生に与える影響は大きいです。私も鹿児島大学での生活を通して、様々なチャレンジをしました。もちろん失敗も多々ありましたが、それらはすべて自分の糧となりました。これから大学に入学する方・在学中の方には、失敗を恐れず自分のやりたいことにチャレンジする学生生活を過ごしてほしいです。

たくさんの出会いを通して学びのフィールドが広がります

理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2015年度修了

上田 華子(三井住友建設株式会社 建築本部設備部)

 わたしは、鹿児島大学大学院を修了しゼネコン(総合建設会社)に入社しました。入社以来、2年間の設備設計の経験、2年間の建設現場での設備施工管理を経験し、現在は再び設備設計の業務に携わっています。現場での経験を経る前と後では、図面に対する責任感は著しく変化しました。図面を描くだけでは分からなかった実際の現場を目の当たりにしてみると、新しい学びや発見があります。
 大学に入学する前に想像していた建築の仕事は、デザイナーのような仕事でした。様々な授業を受ける中で、環境設備の分野に興味を持ち、空気質をテーマとした研究を行いました。とくに、わたしの研究内容では他学部の先生に助けていただく機会も多く、さまざまな角度から意見をもらい、いつも新たな発見のある充実した研究生活でした。学びを重ねるにつれて、新たな分野やもっと深く知りたいと思うことに出会えたことは大きな収穫です。また、大学での専門授業は社会人になってからの資格取得に大いに役立ちました。
 鹿児島は南国ならではの気候で、自然豊かなスポットもたくさんあり、友人とさまざまな場所に行ったことは大切な思い出です。卒業後も大学時代の友人との交流は大きな支えになっています。
 現在の仕事では、国際支店との連携による業務や、省エネだけではない人々の健康や暮らしやすさに関する認証制度への取り組みなど新たな挑戦ばかりです。大学時代に培った積極的な学びの姿勢を活かして取り組んでいきたいと思います。
 みなさんも、鹿児島大学でのたくさんの出会いを通して、自分の興味を掘り下げて、深く広く学ぶ経験をしてはいかがでしょうか。

学生生活を通して得たもの

理工学研究科 建築学専攻 2015年度修了

遠矢 将((株)NAP建築設計事務所)

 鹿児島大学の皆様、こんにちは。
 私は、東京のNAP建築設計事務所という建築設計を専門とする会社に勤めています。ここでは、代表である建築家の中村拓志氏と共にさまざまプロジェクトに取り組んでいます。事務所の特徴として、“ふるまい”をキーワードに、人の動きや感じ方を意識した細やかな設計が行われていることが上げられます。それは、建物の寸法や、光りの入りかた、素材をどうするかなど、あらゆる要素を追求することで実現しています。私が進路として、この場所を選択したのは、“ふるまい”の設計手法を学ぶことが、“大切に使い続けてもらう建築”を設計するために必要であると考えたからです。
 学部生の頃は、誰も見たことのない建物をつくりたいと考えていました。そのため、特に設計演習の授業に力を入れて取り組み、自分のアイディアが人から興味や関心を示してもらえるととても嬉しかったことを憶えています。
 学部4年から大学院では当時新設された鯵坂研究室に入りました。研究室では、主なテーマとして近現代の建物・建築家に着目したものが多く扱われています。研究以外に、プロジェクトやワークショップ、建物の調査活動なども参加しました。特に、建築家 坂倉準三の展覧会活動や、東京駅百周年記念展覧会での模型製作など、大規模なプロジェクトに参加し、貴重な経験を積むことができました。こういった研究や活動を通して、既存の建物とその背景にある歴史や文化について、何度も考える機会を得ました。
 現在の日本では老朽化した建物が使われ続けることは少なく、頻繁に建て替えが行われています。しかし、建物はただ機能的役割を果たすためそこにあるのではなく、地域の風景としてそこで過ごす人々の思い出の一部であり、同時に歴史をかたどる文化的価値を持った存在です。私は学生生活を通して、“使われ続ける建築の意義”を学び、ただ新しいものをつくりたいという考えから“大切に使い続けてもらう建築”をつくりたいという思いを抱きました。そして、卒業後、今の事務所へ入社することを決めました。
 設計には答えはありません。答えない仕事を進めるには自分で決断する瞬間があり、そのために思想や信念が必要となります。私は鹿児島大学での生活を通して、その礎となる経験を積むことができたのだと思います。
 在学中の皆様も学生生活の中で、自分の信じる道はなにか、夢は、目標はなにか、一度考えてみて下さい。

学生時代に多くの経験を

大学院理工学研究科 建築学専攻 博士前期課程 2015年度修了

奥山 尚美(株式会社大林組)

 多くの人が足を運ぶ建築をつくりたいと思い、総合建設会社(ゼネコン)設計部に就職しました。入社後半年間は現場研修で施工管理の仕事を経験し、現在は設計部で商業施設、オフィスビル、ホテルの複合物件の実施設計を行っています。入社後はじめに現場を経験したことで、建築への理解が深まったのはもちろんですが、1つの建物が本当に多くの人の力の積み重ねで出来上がっていることを身を持って実感し感動しました。設計部に配属され、わからないことばかりで勉強の日々ですが、最近は建築を見ると学生時代には気にも留めなかったような細かな部分にも目がいくようになり、建築の難しさと面白さを感じています。
 学生時代はワークショップ等も含め、国内外いろいろな場所に行きました。その中でもフランスのコルビュジェ建築をまわったことや、九州ならではの地域に根付いた活動にいくつも参加できたこと、他大学との交流等は自分の視野を広げる大きな経験になりました。
 大学院では、過疎地域の小学校をテーマとし、過疎地域ならではの2学年以上を1学級に編成した複式学級の調査・研究をし、修士設計としてこれからの小学校の未来像の提案を行いました。実際に時間をかけて調査して見えてきた課題に対する、自分なりの提案をつくっていくのは、それまでの設計課題とは一味違い、とてもおもしろかったです。また、鹿児島にいたからこそできた研究かなと思っています。
 大学生活は、自分の知りたいことややりたいことに時間をかけて取り組むことができる時期だと思います。建築は、実体験が大きく活きてくる分野だと思うので、今学生生活を送っているみなさんやこれから入学するみなさんには、積極的にいろいろなところに出かけたり、活動に参加したりして、有意義な時間を過ごしてほしいなと思います。