様々なことに挑戦できる環境
化学生命・化学工学専攻 2014年度修了
永田 野々香(シスメックス株式会社)
現在私は、医療機器メーカーであるシスメックス株式会社で営業職として勤務しています。シスメックス株式会社では、主に血液や尿、細胞などを採取して調べる検査に利用する機器を販売しており、ヘマトロジー(血液中の赤血球や白血球などの数や種類、大きさを分析することにより、精密な検査が必要かどうかを判断するための検査)の分野においては、弊社の機器が世界で最も多く利用されています。
私は高校生の頃から生物や遺伝子、数学が好きだったため、理系の大学に進むことを決めていました。しかし、その頃は将来なりたい職業や夢などは全く決まっていませんでした。そのため大学入学後、自分で興味のあることにできるだけ多く挑戦してみることにしました。1つ目は研究室で疾患診断薬を開発すること、2つ目は国際交流を積極的に行うことでした。これらの挑戦から得られたこととして「成し遂げる力」を養うことが出来ました。日々の研究では実験の失敗が当たり前で、次はどうすれば成功するかを常に考えていました。修士論文の作成は非常に根気が必要であったため、書き終えた際の喜びは今でも忘れることはできません。また、国際交流を行うにあたって、英語学習にも力を入れ、実際に鹿児島大学のプログラムを利用してシリコンバレーのバイオコンサルティング会社でのインターンシップや、台湾で世界中のエンジニア専攻の学生との交流も行うことが出来ました。鹿児島大学での学生生活を通してこれらの経験を積んだことで、グローバルに活躍できる医療機器メーカーに就職することが出来、また、学生生活で得られたことのすべてが現在の業務に役立っていると感じます。
鹿児島大学には熱心に指導してくれる先生方や先輩方が沢山います。また、魅力的な研究室や大学のプログラムも多数存在します。素晴らしい環境でかけがえのない学生生活を送ってみて下さい。
いろんなことにどんどんチャレンジしてください!
理工学研究科 ナノ構造先端材料工学専攻 博士前期課程 2010年修了
酒見 千穂(川澄化学工業株式会社)
卒業後、医療機器メーカーに入社し、現在は人事部で仕事を行っています。人事部では新卒採用に3年携わりましたが、会社説明会で出会う学生に必ず、「なぜ理系なのに人事なのか?学んだことが活かせるのか?」と聞かれます。大学時代での経験で、私が最も役立っていると思うのは、週報会や卒論・修論など、人前で話す場を多く経験できたことです。
学部での卒論は、ポスター発表でした。自分の研究を深く知らない同期も聞きに来るので、自分の中では既に「当たり前」になっている原理も一から説明する必要があり、本当に理解していなければ相手にわかるようには説明できないのだと痛感しました。当時の担当教授は「研究は高校生にわかるように説明しろ」という方で、おかげで相手の理解度や認識のギャップを確認しながら話す癖がつきました。会社では、自分のアイデアを説明する機会がたくさんあり、違う部署の人や取引先、ときには経営陣に対して説明することもありますので、相手に合わせて共通認識を作る必要性に気付けたのは、自分にとって貴重で今に活きる経験だったと思います。
学生生活においては、何か1つでもいいので、目標を決めて取り組んだ経験を持ってほしいと思います。自分の学生生活を振り返ると、「絶対~する」と目標を決めたものは、「結果的にうまく行った」ものよりも、成功したときに自信につながったように思います。大学生活は、自分で時間をコントロールできる、貴重な4年間なので、いろんなことにどんどんチャレンジしてください!
生物・化学を工学部で学ぶこと
化学生命工学プログラム 2年
西薗 みなみ(時任学園樟南高校 卒業)
『工学部』というとどんなイメージがあるだろうか?とにかく男子が多い、機械、建築、情報系・・・少しとっつきにくい。少なくとも化学や生物のイメージは私にはまったくなかった。ちなみに化学生命工学プログラムは女子学生もとても多いので安心してほしい。
「物理選択でなくては工学部を受験できない。工学部に行く気はないか?」と生物の先生に問われたのは、高校1年の文理選択の時期だった。国立理系に進学することしか決めていなかった私は、「大好きな」生物を選択するか、「あの」物理を選択するかギリギリまで迷っていた。まさか生物の先生に物理を勧められると思っていなかったため心底驚いた。
工学部で化学や生物を学べると知ったのはその時である。
鹿児島大学では工学部以外に理学部や農学部、水産学部などでも「生物」を学ぶことが出来る。その中で私が工学部を選択したのは、物理、生物、化学の3つの分野を融合させて研究することに大きな魅力を感じたからだ。研究対象を様々な方向、広い視野で見ることが出来るということは、研究者としてとても重要なことだ。
私はまだ1年生のため、専門科目は少ない。多くは自分の視野を広げるための教養科目である。前期の科目の中で最も印象に残ったのが『初年次セミナー1』という科目だ。様々な学部学科のグループのメンバーと協力して1つのプレゼンテーションを作り上げる。自分とは全く別の方向からの意見、意見の食い違いから繰り広げられる討論。大学生になったのだと最初に実感した授業だった。
サークル・部活の活動の自由度もこれまでと比べ物にならないほど高い。私は探検部という部活で登山を主に活動しているが、今までと全く違う世界が毎度新鮮だ。勉強はもちろんだが、サークル活動やアルバイトなど今しかできない経験を積むことも大学生にとって大切なことだと思う。
生物を将来学びたいと考える高校生は、迷わず生物を選択する前に少し考えてほしい。工学部は物理を選択しなくては受験が難しい。私が高校の先生に言われたことだが、「大学からでも生物は思い切り勉強できる」。物理を嫌う人は多いが、物理を学ばなければわからない生物や化学の世界がある。
将来どんな研究者になりたいのか、どんな人の力になりたいのかイメージしながら受験を乗り切ってほしい。希望する進路に受験生の皆さんが進めることを心から願っている。